研究概要 |
消費者志向を標傍する企業マーケティングは, 企業がマーケティングを展開するために, 政策立案する場合, 主体的な消費生活を営もうとする生活者の労働観と消費意識を前提とする生活設計を考慮して, はじめて可能である. また大都市居住の生活者が, 営む消費生活も全国規模にわたる消費生活の先行指標となることは充分理解されるが, 同時にかれらが何らかの集団, 組織, および地域社会において生活する以上, 行動基準である社会規範について無視するわけにはいかない. 以上, われわれは3つの観点から研究を行った. 1.社会規範(家庭生活, 個人生活, 対人関係, 金銭問題, 職場生活)に関する尺度を作成し, 標準化を試みた. これら尺度とライフスタイル尺度との関係を検討した. その結果, 社会規範に対し受容的な生活者と拒否的な生活者との間に, ライフスタイルの方向に差異のみられたことである. ここで生活者といった場合, 社会規範との関係で理解されることが重視される. 2.生活者は, 社会規範とライフスタイルから, 4つのタイプに分類された. つまり大都市共同生活型, 衝動的享楽生活型, 倹約的節約生活型, 孤立的自己中心生活型, である. かれら4タイプが, デモグラフィックスの点でどのような特徴が評価されるか, また生活水準の設定が現在と5カ年先とでは, どのように変化するかが検討された. その結果, 現時点の生活水準は, タイプにより設定が異なるが, 5カ年先ではほぼ同一レベルに収〓することが理解された. 将来の生活は, 現時点より必ず向上のみられたことである. 3.労働観と生活設計の観点から, 生活者を分析しようとした. 特に, 労働観は, 仕事のイメージ, 職務満足感において, 生活者の消費意識に差異が評価された. また生活設計には, 金銭や経済問題と無関係でないことが理解された. 注目すべきことは, 「多忙による不規則な生活」を避けたい, という意識の強いことである.
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