研究概要 |
中小・中堅企業の共同開発を現在最も体系的に実施している異業種交流活動を対象とした郵送法による実証研究を行った結果, 次のような経営学的な含意をもつ分析結果が得られた. 1.共同開発は初期段階, 資源共有段階, 共同活動段階の3つの段階を順次踏んで進化していく. そのために, 各段階に応じた資源の組合せ, 組織づくりを行なうとともに, それを創造的に破壊して次の段階へ進化しなくてはならない. 2.資源には参加企業がもつ内的資源と参加企業以外から調達する外的資源とがある. 内的資源は活動の進展に伴ないセレクションを強め, 絞り込んでいかねばならず, これとは逆に, 外的資源はセレクションを徐々に弱め, より多くの資源を取り入れていくことが必要となる. 3.組織は構造と過程の2つの次元で把握される. 構造は活動の進化に応じて, はじめは形態, 公式化, パワー構造などが整備されず, ゆるやかな系構造であったものが, 整備され剛構造へと変革されていかねばならない. 逆に, 過程は当初少数で, 一様な相互作用をメンバー間に生じせしめているが, 進化に伴ってより多数の多様な相互作用を引き起すものになっていく. タイトな相互作用からルースな相互作用に変化するのである. 4.共同開発を成功へと導くためには, 一方で資源のミックスに関して内的資源と外的資源の間にセレクションの不一致を生み出すとともに, 他方で組織の固定性に関して構造と過程の間に不一致を生み出さなければならない. この2種の不一致が短期的な均衡を創造的に破壊して, 長期的なダイナミックな均衡をもたらすための必要条件なのである.
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