研究概要 |
内部統制システムとは、内部経営統制のために、経営体の内部で採用されている個々の具体的な統制技法たる諸要素がそれぞれ一定の仕方で結合し、一定の体系を形成し、それらが複合体をなしているとき、その体系を一定の形の仕組みとして把握するときに成立する概念である。財務諸表監査では、このような内部統制システムの機能を監査構造にとりいれている。すなわち財務諸表監査は、内部統制システムの有効性の程度に応じて試査でよいという。そこで、監査人はいわば先決変数を決定するため、まず内部統制システムの有効性を調査・評価する必要がある。その有力な方法として内部統制質問書が開発されているが、従来の質問書の問題点は、内部統制質問書をアルゴリズム化し、質問項目のデータベースを作成して、パソコン等による「内部統制調査・評価システム」を開発していくことにより解決できる問題である。まず、次のキーの組合わせ別の内部統制質問書を作成する。(イ)業種,業務,規模,システム等,(ロ)システム全体,センター,端末,ネットワーク等(ハ)質問書回答者の職務別,(ニ)システム監査の進行別,(ホ)安全体策等の対策別(ヘ)システム全体,プログラム別等である。次に、各内部統制技法間の関連-代替性および補完性、質問項目ごとのコントロール目的と各プロセスにおける有効性の分析が必要である。第3に、調査結果の評価・解析には、各業種のシステム関係者に各統制項目ごとに5段階評価で評点を依頼し、デルファイ法により格付けする。現在ある程度動くシステムを考えており、その完成後に監査人、システム関係者に示して意見を聞くというプロトタイピングにより具体的なニーズを引き出し、改善を加えていくプロセスを進めていく。
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