研究概要 |
Sを【P^3】内の超曲面で特異点は孤立特異点のみとするとき、当初の研究計画に従ってSの最小特異点除去【S!〜】について調べている途中、従来問題意識としてもっていた次の古典的問題の手がかりが握めることになった。即ち、Cを【P^2】内の既約代数曲線とすると種数と特異点の重複度と次数の間に種数公式が成立するが、逆に「これらの量を与えたとき、いつ平面曲線が存在するか」という問題である。これは全く思いがけないことに、次元を上げた曲面の問題として考えるということで、かなり解決されるのである。即ち、Cの同次な定義式をf(【Z_0】,【Z_1】,【Z_2】)=0とするとき、例えばCが2重点のみの時で次数が偶数d=2eの時など曲面Sを重み付き射影空間P(1,1,1,e)の中で【(Z-3)^2】=f(【Z_0】,【Z_1】,【Z_2】)で定義されるものとして、【S!〜】のPicand数を調べるという方法である。実はこの方法は既に古くZariskiがcyclic multiple planeの研究で行なった方法であった。SはCの特異点に対応した正規(今は有理型)特異点をもち、その特異点除去が問題となる。dが奇数の時や、cの特異点の重複度が3の時などについても類似の方法を用いて、ある種の"曲線の非存在"の証明に成功した。まだこの方法によって重複度が4以上の場合などの多くの場合に解決できる見通しもあり、できる限り解決してしまってから再び本来の開3次元多様体【P^3】-Sの研究に戻ろうと思う。多少の寄り道をした感じはあるが、当初の研究目標の為には役立つ面も少なくないと思われる。
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