研究分担者 |
杉原 正顕 一橋大学, 経済学部, 講師 (80154483)
稲垣 敏之 筑波大学, 電子・情報工学系, 助教授 (60134219)
小柳 義夫 筑波大学, 電子・情報工学系, 助教授 (60011673)
名取 亮 筑波大学, 電子・情報工学系, 教授 (70013745)
池辺 八洲彦 筑波大学, 電子・情報工学系, 教授 (10114034)
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研究概要 |
本研究の対象とするところはスーパーコンピュータのための数値計算の主要なアルゴリズムであるが, そのうちとくにスーパーコンピュータにおいて重要な役割を果している大規模な線形計算に関して重点的に研究を行った. まず, 名取は, スーパーコンピュータにおける大規模線形計算で有用な計算法について調査を行った. その調査を基にして, いろいろな計算法の比較検討を行い, とくに前処理付き共役勾配法および前処理付き共役残差法について詳細な研究を行った. 大規模線形計算でよく利用されているSOR法をスーパーコンピュータで実行させるとき, ベクトル化の効率を上げようとして安易に書換えを行っているケースをよく見かけるが, 杉原・小柳・森は, この書換えは本来のSOR法とは異なる方法を与え, しかもSOR法自体の収束を悪くする可能性があることに注目した. そして, この書換えた方法の収束性を理論的に解明し, 実際にその収束は本来のSOR法よりも悪く, しかも加速パラメータの選択範囲にかなりきつい制限があることを明らかにした. 前処理付き共役傾斜法(あるいは共役勾配法, CG法)の有効性を示すためにいろいろな数学的手法が試みられているが, 森は, 正定値対称行列の場合のICCG法について, 残差多項式を利用してその有効性の解析を行った. 残差多項式を具体的にプロッタによって描くことによって, CG法およびICCG法のいろいろな新しい性質を得た. 数値計算で基本的重要性をもつ基本関数について, 小柳は, 並列型スーパーコンピュータの数体系における可能な計算法とその計算効率および誤差について研究を行った.
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