研究概要 |
太陽は, その表面の活動現象を詳細に観測し得る唯一の恒星であるので, 太陽表面に浮上してくる双極磁場領域, 即ち活動領域の構造と進化, 及び, その中で発生する活動現象を研究することは, 天体磁場の消長と活動, 及び, それ等の再結合によるエネルギー解放の研究にとって, 最も基本的でかつ重要である. この様な観点から, 本研究は, 京都大学理学部付属飛騨天文台のドームレス太陽望遠鏡による観測を中心として遂行された結果, 次の様な研究成果を挙げた. (1)太陽面爆発(フレアー)のエネルギーを蓄積する磁場の歪構造の形成機構について次の二つのタイプを見い出した. (A)異なる極性の領域が互いに接近して衝突する場合. (B)双極磁場領域の下から, 次々と傾きの異なる双極磁場が浮上してくる場合. (2)上記(B)の状況は捩れた磁束管の浮上として説明出来る. 又, このタイプによって急速に磁場の歪構造が形成される時, 強いフレアーが発生する. (3)従来Hα単色像で見た場合, 双極磁場領域浮上の最初の兆候は, プラージュとAFSであると考えられていたが, 顕著なサージ活動が, それ等に先行する場合の多いことが, 本研究によって発見された. (4)浮上双極磁場領域のマグネトグラフと, Hα単色像におけるサージ活動の場所を比較した結果, 新浮上磁場と, その周囲の旧磁場との再結合によって, サージが放出されるものと考えて, 矛盾しないことが示された. 以上の如く本研究によって, フレア及びサージと捩れた浮上磁場との強い関連性が示唆されたが, 今後更に詳しく調べる必要がある.
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