研究概要 |
我々は5つの大質量星生成領域の観測を行い, 貴重な成果を得た. 主な結果を列記すると, 1.全てのソースが原始星ディスクの進化の異った時期を表わしている. 2.大質量星生成領域に付随する分子雲は細長く伸びた構造を持ち, 密度の濃い所が成長しdenseコアを形成する. このdenseコアは2〜3個のdomseクランプから成る. 3.細長く伸びた構造には速度勾配があり, donseクランプの速度勾配の方向と一致. 回転! 4.W58は中心部にHII領域は見えず, まさに原始星を見ている可能性あり. この原始星ディスクは, 我々の^<13>CO, HCO^+の観測より, 微分回転している事が明らかになった. 又中心でのHCO^+の線巾が非常に広い事より, 中心部では多くのdonseクランプが形成されていると推定される. 5.W3CHは分子雲の衝突により, 星生成が進行したと思われる証拠が得られた. 今後干渉計で詳しく観測したい. 6.W33は原始星の進化の末期で, ブリスタータイプの分子雲の分裂, 加速等激しい運動が起こっている. 以上の事より, 原始星ディスクの進化について次の様なシナリオを考えた. まず, 星間ガスは銀河面上で自発的, 或いは外乱により収縮し, 密度の濃い所が生長しdenseコアが形成される. コアは益々収縮し, 微分回転する. 微分回転する雲は角運動量の輸送の為に多数の渦ができ, それらが生長し多数のクランプが形成される. クランプは離散集合し, 最終的に数個のdenseコアが形成される. このコアが更に収縮し星生成を引き起こす. あるいは外乱によって, 衝突等が起こり火がつくかもしれない. 一度どこかに火がつくとブリスターにより第2, 第3世代の星が次々と産まれる. 尚, 我々は一昨年来, 大質量星生成の引き金の機構としてHII領域の膨張による星生成の可能性をオリオン, M17, NGC281, CepBその他で精力的に観測し衝撃波領域の存在の確認, 圧縮率, 加速などについて貴重な結果を得た. これは昨年の実績報告書に書いたので割愛する.
|