研究課題/領域番号 |
61540190
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
核・宇宙線・素粒子
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高木 伸 東北大学, 理学部, 助教授 (90124594)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1987
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研究課題ステータス |
完了 (1987年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1987年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1986年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | ブラックホール / ホーキング輻射 / ホーキング・ウンルー効果 / 一様加速系 / ディヴィーズ・ウンルー温度 / 重力崩壊 |
研究概要 |
ブラックホールの熱力学に関する研究を三つの観点から行った。 1.一様加速系から見た真空の量子雑音を、理想化された粒子検出器の応答を調べるという手法で研究した。(これはHawking輻射の理論と深く関連する。)これに関してつとに見出した「統計反転現象」(時空の次元が奇のとき、ボーズ場による雑音のスペクトルはフェルミ型になり、フェルミ場によるものは逆にボーズ型になるという現象)の基礎付けと一般化を行った。まず原理的に観測し得る雑音の数学的表現を定めるためには、有限サイズの検出器を考えるべきであり、サイズを無限小とする極限で、所謂ワイトマン凾数が自然に導かれることを示した。これにより「統計反転」がきちんと基礎付けられた。次にボーズ場としてスカラー場を電磁場に一般化し、「統計」と時空の次元および場のスピンの間に一定の関係が存在することを確認した。最后に、この現象を所謂リンドラー粒子の状態密度との関連で理解する方法を見出した。この最后の点をまとめたのが研究発表の第二論文で、残りは第一論文に詳述した。 2.ブラックホールの熱平衡状態を考察するために、静的ブラックホール時空に於るストレス・テンソルの場の量子論的計算方法を整備した。これは、学生の博士論文のテーマとして研究を指導した。今までに得られた一応の成果は、グリーン凾数に対する微分方程式を代数方程式に帰着させうる、というもので、これを学生がまとめたのが第3論文である。 3.Hawking輻射の性質を把握するために、現実的な重力崩壊の模型を用いて輻射の強度を計算する仕事を始めた。但し、計算の困難のため、二次元時空にせざるを得ない。無限に大きく無限に稀薄な星が崩壊する場合、輻射が出始めてから定常熱輻射に達するまでの過渡状態が、シュヴァルツチルド半径を光速で割った時間の約50倍の時間続くことを見出した。現在、星の初期半径が有限の場合について研究中である。
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