研究概要 |
東北大学核理研に最近設置された150MeV電子線ストレッチャーからの連続電子線を用い, (e, e'γ)反応を利用して多重極転移を正確に測定し, 核構造に関する新しい情報を得ることを試みた. 昭和61年度では, 同時測定装置の整備を行い, 測定装置の試験を兼ねて, ^<12>Cの11.5MeV, 1^+準位から基底状態, O^+に転移するγ線の角分布を測定した. 図(a)は反応平面での角分布で, 図中の2種類のデータは, 測定条件の異なる場合の結果であるが, 両者は良く一致している. 実戦はM1転移の計算値である. 計算値は実験値をよく再現しており, 実験結果はM1転移であることが明らかである. 尚点線はE1転移の相対的な計算値である. 次に^<58>NiのEx〜10MeVでの予備実験を行った. その解析結果を図(b)に示す. 統計誤差がかなり大きいが, この結果はE1, M1の混在を示している. 以上の経験を基にして, 62年度には^<58>Niについての本実験を行ったが, その測定結果を現在解析中である. 以上のことから(e, e'γ)反応は核構造の研究に有効であり, 特に複数に多重極転移が混在する場合にも有用であることが確かめられた. 又中重核であるNiでも利用可能であることが確かめられた.
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