研究概要 |
本研究は, 原子核の殻模型によって, ベータ安定線近傍の原子核およびベータ安定線から離れた中性子過剰核のガモフ・テラー型のベータプラス遷移に対する遷移強度を計算し, 超新星爆発の研究に応用することを目的にしている. まず, ベータマイナスおよびベータプラスのフェルミおよびガモプテラー遷移に対する強度関数を殻模型によって求める大型電子計算機用プログラムを開発した. ひとまず, p殻核, sd殻核, fp殻核に対して計算できるようにした. そのプログラムを使用して核構造研究を行った成果を次に述べる. (1)sd殻における偶一偶核, 特にN=ZおよびN=Z+2核でのM1励起強度和を計算した. 実験値の質量数依存性を再現できた. 実験値が計算値に比べて約20%小さいのは, sd殻以外の空間からの寄与である. 又^<20>NeでM1強度和に占めるスピン部分の寄与の割合が他の核に比べて例外的に小さいことが判った. 同じ原子核で今度はガモプテラー遷移の強度和を計算し, 基底状態相関の重要性とその相関には陽子-中性子相関が重要な寄与を与えていることを示せた. (2)f^<7/2>殻核の偶一偶核でのM1遷移に対して, 軌道角運動量成分M(l), スピン角運動量成分M(S)の比を計算(実験結果と比較した. f^<7/2>殻からの2核子励起配位まで取り入れると実験と非常に良い一致を示す. M(l)成分の大きいものは励起エネルギーの最も低い1^tで, 残りのM(l)強度は他の1^tに分散してしまう. (3)^<71>Gaの基底状態からのガモフ・テラー遷移強度を計算し, 太陽ニュートリノ捕獲確率を求めた. ^<71>Geの5-9MeVへの遷移が特に^8Bニュートリノに対して無視し得ないことがわかった. 計算に使用する有効相互作用への依存性はあまりない. ただし, 基底状態同志の遷移確率は実験値でおきかえた. 今後上記の殻模型計算プログラム, 他から導入したプログラムを使用し, 核構造研究を行いつつ, 最終的目標である超新星爆発の研究も応用したい.
|