研究概要 |
この研究は申請者等が大阪大学核物理研究センター(医家, 核物理研究センターと略す)で行なっているAVFサイクロトロンにより加速した中エネルギー粒子による高励起状態の研究の一環として行なわれているものであり, 特に高励起状態のダンピング機構の解明を直接の目的としている. 具体的には核物理研究センターにおける実験装置, 特に高分解能スペクトログラフ用焦点面検出器のデータ収集システムの強化と九州大学総合理工学研究(以下, 九大総理工と略す)におけるデータ処理システムの整備を行ない効率的な研究の遂行を計ったものである. 昭和61年度には(1)核物理研究センターにおけるデータ収集系と九大総理工におけるデータ処理系の整合を目的とした設備備品の導入, (2)核物理研究センターの焦点面検出器の改良, (3)核物理研究センターに提案すべき新しい実験, 等の検討を行ない, 研究体制の確立を計った. まず, 新データ収集・処理システムの完成により, 以後行なわれる実験だけでなく, これまで行なわれた実験データの解析・処理及び論文化が大幅に進ことになった. これらの結果, 錫同位体核の(p,d)反応に関する研究論文及びデータ収集処理システムに関する論文が早い時期に印刷されることになった. 昭和62年度はシステムの完成に伴ない, 具体的な実験の提案遂行を行なった. 核物理研究センターのマシンタイムとしては, 全体で6, 5日の配分を受け, 実験を実行した. 試料として, 基本的な原子核である^<40>Ca, ^<44>Ca及び^<48>Caを容易した. これらに関する(p^^→, d)反応断面積データを励起エネルギー0〜20MeVまでの高励起状態まで測定し, 直ちに解析を開始した. 一部は既に学会講演会で報告しており, 一部論文を執筆中である. この研究は共同利用研での研究を遠隔地のグループが実行しやすいように考えて進めたものであるが, この方向の努力は今後も続けたい.
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