研究概要 |
アモルファス半導体特有の性質を用いた種々のデバイスが考案されている. 太陽電池, 記憶素子がその代表的な例である. 両者とも大面積で均質なものが容易に作れるという性質を利用している. しかし, 後者は光照射による構造変化の性質を利用するが, 前者では, この性質は劣化を生じさせ, 障害となる. これはアモルファス半導体をデバイスとして用いるとき光誘起現象を十分に知る必要があることを示している. そこで, 蛍光顕微鏡を製作し, 光誘起現象の研究を行った. オリンパス実体顕微鏡を購入し蛍光顕微鏡に改造した. 実体顕微鏡の裏蓋を外し像を結ぶ位置に, x-yラックピニオンステージに固定した直径0.3mmの光ファイバーの先端を置き, それをパソコン駆動の2台のステップモーターで移動し, 像の各部の蛍光を取り出した. 光ファイバーによって導かれた蛍光は高感度光電子増倍管によって検出し, フォトンカウンターによって計測された. データはパソコンに転送されて処理された. 石英ガラス中に光D吸収体として300Aの微結晶CdS_<0.5>Se_0.5を約1%含んだHoyaガラス0-56の蛍光強度分布を製作した蛍光顕微鏡で観測した。光照射すると微結晶が励起されて発光するのである。その結果、蛍光を発する領域が光照射した領域に比べて約50μm大きいことが観測された。大きくなる原因として、励起状態のエネルギ-移動と蛍光の再吸収があげられる。 次に光構造変化の同装置による研究に取り掛った. 光構造変化を一部起こした試料について蛍光の強度分布を測定し, 境界領域で起こる歪を観測するのが目的である. しかし, この研究はクライオスタットの準備が遅れたためできなかった. 引き続き研究する予定である.
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