研究概要 |
1)重い電子系の超伝導状態 重い電子系の有効質量が, 何故桁違いに大きいかは, f電子系と伝導電子系の間の強い相関の問題として重要であるが, 本研究ではそれに立入らず, この系のもうひとつの重要な特性である超伝導状態について注目した. 実際の系で, どの様なクーパー対が生成されているかを特定することは, 超伝導状態の微視的理解の鍵をなす. 種々の実験からは, 対はBCS型ではなく, ギャップにO点あるいは, 節のある非等的なもの, と推測されるが, 未だ同定には到っていない. そこで本研究は, 非等方性をもたらす自由度の増加に伴って出現する集団励起状態に注目した. 例としては, p及びd波対生成によるいくつかの基底状態から出発したが, 各状態とも, 夫々に特徴的な集団モードを有することが判った. これらは, 系の外場中での振舞を特徴づける. 実際それらが, 電磁場や音波に対する応答関数に, どの様に出現するかを, クーロン力及びゲージ不変性を正しく取りれた定式化を完成させ, 例として, 地場侵入長を計算した. これらは, 今後の実験との対比によって, 重い電子系の超伝導状態の解明に役立つに違いない. 2)超流動^3He-B中の非線型音波伝播 ^3He-Bの超音波実験で見出された, ソリトン的非線型性は, 光学的二準位系で成功した非線型方程式系をそのまま借用した現象論で解釈されている. ここでは, ^3Heの超流動状態を規程するオーダパラメタを, 集団励起の固有関数を求めて, 実験条件に合致するReal Sguashingモードへの射影が成す準スピンと音波の相互作用を求め, それらの方程式を求めて, 現象の基礎を与えた. 3)液体He表面上の2次元電子系 電子間および電子-He面間の相互作用を正しく扱う定式化を行い, それを輸送現象・融解現象に応用した.
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