研究概要 |
高対称流を用いたナビエ・ストーク方程式の大規模直接数値シミュレーションによって, 乱流の微細構造に関して次の項目を中心に研究を行った. 1.定常乱流の微細構造 微小尺度レイノルズ数が200程度の乱流の数値シミュレーションを行い, コルモゴロフの普遍平衡エネルギースペクトルの存在を確認し, 乱流場の間欠的構造を特徴づける速度の空間微分とエネルギー散免関数の統計的法則に普遍性があることを見出した. 2.エネルギー減衰則 今まで実験的に知られまた理論的に予測されていたエネルギーの代数的減衰則が今回の大規模数値シミュレーションによって初めて定量的に確認された. 3.ナビエ・ストーク流のカオス化 定常外力のもとでレイノルズ数を上げていくと流れは, 定常運動→周期運動→2重周期運動→3重周期運動→カオス運動と変化すること, 及び乱流運動はカオス運動の中でも空間的変動の不規則なものであることが明らかになった. 4.MHD乱流 運動エネルギーが磁気エネルギーに変換されるというダイナモ効果は, レイノルズ数がある臨界値を越えると初めて生じること及び統計的定常における運動エネルギーと磁気エネルギーの慣性領域スペクトルのベキ法則が得られた. 5.渦管のつなぎかえ 乱流理論で重要なヘリシティーに関するダイナミックスを調べるため絡まった渦管のつなぎかえのシミュレーションを行い, ヘリシティーは非粘性の極限で保存する傾向になることを示し, 同時に渦の橋渡し現象という新しいタイプのつなぎかえを発見した.
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