研究概要 |
1.今年度は本研究の最終年度である. 初年度に開発した長期間連続観測型の海底地震計を用いて, 福島県沖の海底境界部で実験観測を実施し, 微小地震活動の研究を行なった. 2.北海道大学理学部の用船による地震予知の研究航海に乗船することができ, マグニチュード6級の地震が群発している福島沖に海底地震計5台を設置することができた. 用船日数の制約で実際に設置した期間は6月の約23日間である. 観測は予定どおり5台の海底地震計全部を回収することができた. 本実験観測では, 開発した長期間連続型の海底地震計の機器のうち, 記録部と時刻信号発生器のみを使用した. 開発した長周期地震動センサーは, 海底と長周期のノイズや海底とのカップリングなどの予備調査を実施できなかったため実際の観測では使用せず, 従来型の短周期地震動センサーを用いて観測を行なった. 本課題で開発した低消費電力型の記録器および時刻信号発生器は, 設計どおりに充分な可能を観測で発揮しており, 海底地震計の長期間化が可能であることが実際の観測で確かめられた. 3.福島沖の海底での約23日間の観測期間中に, M5.7の地震がねらいどおり観測網内に発生し, その活動がすべて海底地震計に記録された. 前震, 本震, 余震という, 一連の地震活動の発生系列がすべて海底地震計に記録されたのは今回の観測が初めてである. 多くの地震が短時間に発生する余震の場合, 計算機のイヴェント検出によって発生した地震の数を正確に検出することは難しいが, 約3,000個を越えている. この一連の地震活動と, M5.7の地震の発生前の, この地域の定常的な微小地震活動を解析することにより, 福島沖の海陸境界部の微小地震の発生様式があきらかになると考えられる. 地震の数が膨大であるため, 現在も観測データの走時の読み取りを行なっている最中である.
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