研究概要 |
非常に複雑な宇宙プラズマ現象を理論的に解明するために計算機シミュレーションという手段を用いて研究してきた. 最近ではスーパーコンピュータの実用化にともない, 多くの実用的問題の処理が可能となり, 実験(観測)や理論解析による従来の手段に加えて, 計算物理(computational physics)という新しい分野が問題処理のための強力な手段として確固たる地位を築きつつある. 本研究では, 次の二点を中心に議論が進められてきた. (1)まず電磁流体方程式を計算機で効率よく処理するための適切なアルゴリズムを開発し, その有効性を検討してきた. 数値的境界条件の設計, 数値誤差の評価法, 等を中心に研究してきた. 特に, 空間的に三次元のシミュレーションに対してスーパーコンピュータ適合アルゴリズムを開発しており, ベクトル加速性能を引き出す様に工夫している. (2)次に, 開発されたアルゴリズムを用いて実際のプラズマ問題に適用した. 宇宙プラズマ問題で中心的問題であるフレア現象の基本的物理機構の解明を目的として二次元MHDシミュレーションを実行した. その結果, フレアを説明しうる急激な磁気エネルギ変換が, ファーストリコネクションの自発的発展によって実現されうるという独自のモデルを提唱し, 定性的定量的に議論した. 特に, ファーストリコネクションの結果, 超音速流が磁気ループと衝突するところで強いファーストショックが生じ, 効率良いプラズマ加熱が生じ, 加熱されたプラズマは磁気ループの境界に沿って分布する事を示した. 現在はスーパーコンピュータに適合する三次元MHDシミュレーションコードを開発しており, より現実的なモデルを用いて精密な計算を計画している
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