研究課題/領域番号 |
61540344
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理化学一般
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
関 一彦 広島大, 理学部, 助教授 (80124220)
|
研究分担者 |
井口 洋夫 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (00100826)
|
研究期間 (年度) |
1986
|
研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
|
配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1986年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
|
キーワード | 分子ファスナー / 有機半導体 / 分子集合体 / 電気伝導度 / イオン化ポテンシャル / 紫外光電子分光 / 熱分析 |
研究概要 |
テトラキス(アルキルチオ)テトラチアフルバレンTTCn-TTF(nはアルキル基中の炭素数)を中心とする分子ファスナー類について、下記のように合成と、構造及び物性の測定を行った。 (1)東大物性研斉藤研に協力して、n=7〜18の全化合物を合成した。 (2)n=9-11の化合物の示す異常に高い電気伝導度を単結晶を用いて確認し、結晶内の分子の一次元配列に対応した大きな異方性があることを見出した。 (3)姫工大安岡・樋口グループに試料を提供してX線構造解析を行い、長鎖化合物では1次元カラム内でのπ電子部(【C_6】【S_8】グループ)の間にファンデルワールス距離よりも小さなS-S距離が存在することを見出した。 (4)国相のイオン化エネルギーが電気伝導度に対応したn依存性を示し、強い分子間相互作用を反映していることが我々によって既に見出されていたがこれを確認するため、融解状態での光電子スペクトルを測定し、電導度の小さいn=2化合物ではイオン化エネルギーが殆ど融解によって変らないが、n=10では強い分子間相互作用の消失により大きく増加する事を見出した。 (5)TTF環とアルキル鎖を結ぶSをSeやTeに変えたものがやはり斉藤研で合成されたので、特にTe系について電気伝導度を測定し、n=1のものが異常に伝導性の良いこと、n=2以降はTTCn-TTFと同様のn依存性を示す事を見出した。 (6)種々の熱履歴下での熱分析から、アルキル鎖がπ電子部を締めつけるという分子ファスナー概念から理解されるとおり、長鎖化合物ではアルキル鎖が分子のパッキングを支配している事を見出した。 このように分子ファスナー系は種々の興味深い性質を示し、この概念が新しい分子集合体、有機半導体の構築原理として有用である事がわかった。今後更に合成と物性測定を進め、その可能性を追求して行きたい。
|