研究課題/領域番号 |
61540356
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
構造化学
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研究機関 | 聖母女学院短期大学 |
研究代表者 |
加藤 聡子 聖母女学院短, その他, 教授 (20090334)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1986年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 溶融塩 / イオンダイナミックス / 動力学 / ラマンスペクトル / 回転緩和 / 振動緩和 / チオシアン酸塩 |
研究概要 |
強いクーロン相互作用が支配的な液体である溶融塩中のアニオンについて、その回転運動、振動緩和機構等の動力学的性質を解明する事を目的として、1.温度可変型ラマン散乱測定用電気炉を作製し、溶融チオシアン酸塩中のチオシアン酸イオンのラマンスペクトルを、融点直上から分解温度に渡って(450〜600K)測定した。更に、ラマンスペクトルをデジタルデータとして取り出し、直接パーソナルコンピュータで処理解析して、振動相関関数、回転相関数、その他の動力学量を計算する方式を実用化した。結果次の知見を得た。 (1)溶融塩中のチオシアン酸イオンの回転相関関数は、短時間(〜0.1ピコ秒)では単独イオンより少し遅い自由回転子的挙動を示し、その後回転拡散型の指数関数的減衰に移行する。回転緩和時間の温度依存性、カチオン依存性を測定し、回転緩和機構を明らかにした。 (2)振動相関関数を、速い相互作用、遅い相互作用を同時に考虜した久保公式により解析し、振動スペクトルの均一巾、不均一巾を導出、溶融塩中のアニオンの振動位相緩和機構を解明した。 (3)溶融塩の結果を同塩水溶液についての結果と比較し、溶融塩中のイオンの動力学の特徴と溶媒水のイオン動力学に及ぼす影響を明らかにした。 2.溶融硝酸塩(単一塩及び二元混合系、カチオン【Li^+】〜【Cs^+】,【Tl^+】の融点直上から分解温度に至るラマン散乱の測定と解析を現在行っている。単一塩に特徴的な非対称な等方ラマンバンドが、溶融塩中のアニオンのいくつかの局所構造の非対称な分布から生じることを確認し、更に、二元混合系においては、等方ラマンバンドの形がモル分率に顕著に依存することに注目して、アニオンの局所構造の分布及びそのダイナミックスの解明を進めており、興味ある知見を得つつある。
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