研究課題/領域番号 |
61540378
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
有機化学一般
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
清水 宣次郎 九大, 理学部, 助教授 (70001849)
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研究分担者 |
都野 雄甫 九州大学, 理学部, 教授 (10029845)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1986年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | エン反応 / 立体選択性 / コンホメイション / アリルシラン |
研究概要 |
ネオペンチルエチレン(1)の一重項酸素によるエン反応では、トランス-エン生成物を特異的に生成するが、アリル位のt-ブチル基を立体的,電子的に類似したトリメチルシリル基に代えたアリルシラン(2)のエン反応では、立体選択性が逆転し、熱力学的に極めて不利なシス生成物を優先的に与えるという事実を見いだした。この結果は、エン反応の立体選択性が従来提唱されている立体効果や熱力学的要因に基づくものではないことを明確に示めすと同時に、原系コンホメイションの関与を強く示唆する事実として注目される。すなわち、アリル位の置換基は、アルキル基の場合、一般に二重結合面に対してゴーシュ配座をとっているのに対して、アリルシランではα-π相互作用の結果、シリル基が垂直に位置した配座をとるという原系コンホメイションの相違が前者をしてトランス、後者をしてシス選択性を発現せしめる本質とする機構が新たに提唱される。このモデルによれば、シス選択性は反応性の高いエノフィル程高く、一方、二重結合末端にかさ高い基が存在すれば、垂直コンホメイションは不安定となりシス選択性は低下すると予想されるが、実際、一重項酸素やベンザインのエン反応は、反応性の低いアゾ-エン試薬に較べて高いシス選択性を示めし、また、一連の3-アルキルアリルシラン(3)を用いた結果は、メチル,エチル,イソプロピルの順にシス選択性が低下し、モデルの妥当性が示めされた。 一方、TCNEは(2)と反応して環化付加物を与えエン反応は起こさないが、3-位にアルキル基をもつ(3)との反応は選択的にエン反応生成物を与えることを見いだした。特に興味深いことは、上述のエン試薬が全てシリルメチル基からの水素引き抜きであるのに対して、アルキル基から選択的に引き抜くことであり、電子移動を供った新らしいタイプのエン反応として注目される。
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