研究課題/領域番号 |
61540385
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
有機化学一般
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
多田 愈 早稲田大, 理工学部, 教授 (90063651)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1986年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | コバルト錯体 / ラジカル環化 / ラジカル転移 / ラジカル置換反応 / リグニン合成 / チオラクトン合成 |
研究概要 |
1.Β-フェニルプロピオンアルデヒドを出発原料として1-プロパルギルオキシ-3-フェニル-2-ブロモプロパン類(A)および1-フェニルプロパルギルオキシ-3-フェニル-2-ブロモプロパン類(B)を合成し、これ等のラジカル環化反応を検討した。我々の発見したコバロキシムとNaB【H_4】を用いるラジカル環化は容易に進行し、前者(A)からは3-ベンジル-4-メチレンテトラヒドロフラン類が、また後者(B)からはセコリグナン骨格がいづれも高収率で生成した。これ等のラジカル環化は一段階環化で止り、セコリグナン骨格の生成に留まっているので、今後は二段階環化を起すのに必要な構造条件を探ってゆきたい。 2.テトラヒドロナフタレン類を合成する場合カチオン種を経る環化が一般的であるが、カオチン種がΒ-二置換体の場合置換基の転位が起る。Ρ-二置換アラルキルブロミドを原料としてアラルキルコバロキシムを合成し、光分解によってコバルト炭素結合をラジカル開裂させると、ベンゼン環へのラジカル環化により定量的にテトラヒドロナフタレン誘導体が得られる。またこの時、ベンゼン環のオルト位が置換基でふさがっているとケトン、チオエステル基のラジカル転移が起り、通常の方法では得難いβγ-不飽和カルボニル化合物が得られる。3.アルキル基がラジカル脱離性の強いt-ブチル基の場合チオエステル(RCOSB【u^t】)のイオウ上でラジカル置換反応(【S_H】2)が起り得ることを発見した。そこでβ-位またはγ-位にt-ブチルチオエステル基を有するオルガノコバロキシムを対応するブロミドから合成し、それの光分解でラジカルを発生させると高収率でβ-チオラクトン類またはγ-チオラクトン類を与える。このラジカル置換にはコバルト錯体が関与している可能性が強い。今後この置換反応に対するコバルト錯体の関与と生体系にみられるチオエステル基転移に於けるコバラミン関与の相関を解明したい。
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