研究概要 |
国内市販品の石コク(Dendrobium)5種類を購入してアルカロイドの檢出並びに分離を行なったが、デンドロビン・ノビリンの標品がとれた程度で興味のある結果は得られなかった。何れも交配種であったためでもあろう。 以前から共同研究中の中国薬科大学徐国鈞教授の研究室員が21種の石コクを収集し、未知種を含めて約14種を持参して来日した。これらのうちアルコール抽出物のドラーゲンドルフ反応が著しいものは、Dendrobium,loddigeaii,D.chrysanthum,D.willsamsonii,D.lohohense,D.nobileであった(但し加熱乾燥した市販品のD.nobileにはデンドロビン等のアルカロイドが認められないものがあった)。 これらのものは何れも紫外部吸収のあるアルカロイドを含んでいるが、これらのアルカロイドは、高速液体クロマトグラフィーや薄属クロマトスキャンナーを用いて分離・定量が充分に出来ることが判明し、幾つかの結果を得た。(1)Dendrobium loddigesiiからは既知のアルカロイドであるシフニン(D.lohohenseより分離されている)以外に未知のアルカロイドが得られたが、抽出中にシフニンがアンモニアと反応して生じたものであることを構造決定並びに合成で確認した。そのほか非アルカロイドの生体活性物質を結晶状に得て構造を推定した。高速液体クロマトグラフィーと薄層クロマトスキャンナーでこの植物中のシフニンの定量分析を行なった。両者の方法による分析結果は大体一致した。(2)Dendrobium chrysanthumからは予想通りcis,trans-デンドロクリシンが分離された。高速液体クロマトグラフィーによりその各々を分離定量することが出来た。またこれらの化合物は未知の種の石コクからも分離することも出来た。(3)D.fimhriatcamからは2個、D.chrysanthumからも2個の結晶が得られたが、多分テルペン類と思って追及しなかった。
|