研究概要 |
く形波変調振動電極法(振動電極法)が対流変調電解法の新らたな一方法となる可能性については既に報告した。本研究では,(【I】)装置,特に電極の振動方法および差変調電流の計測方法の検討を行ない,つぎに(【II】)く形波(回転)変調円板電極法(回転電極法)としながら基礎的研究を行なった。つづいて(【III】)流れ分析における応用を試みた。その結果,(【I】)については周波数60Hzと0Hzを用いるのが最も実用的であることが確認され,差電流の計測方法については本法に開発した多重サンプリング方法が十分低雑音性であることが認められた。(【II】)の結果振動電極法によって得られた差変調電流と濃度との関係は良好で回転電極法と同等の検出限界濃度(【10^(-7)】〜【10^(-8)】モル1l)が得られた。さらに電極周辺における溶液の移動現象の解析を試みたが振動に伴う溶液流動が複雑で実験結果を満足する電流式は得られなかった。つぎに(【III】)の結果,本装置を用いシスチン/システインの微量分析を試みたところシスチンで【10^(-8)】モル1l,システインで【10^(-6)】モル1lの桁の分析が可能であった。さらに本法をフローインジェクション分析法と組み合わせシスチンの検出を試みたところ2×【10^(-12)】モルの検出が可能であった。以上の結果本法の特徴である微量試料による高感度分析は流れ分析の検出手法として有用なことが確認された。
|