研究概要 |
1.試料ガス調製用の真空ラインおよび赤外、紫外分光光度計用のセルを製作した。真空系はガラスグリースレスコックを用い、液体窒素トラップを介してヒックマンポンプおよび油回転ポンプにより排気した。装置はすべて水銀フリーとした。紫外線光源のスプラジル製低圧水銀灯を設計製作した。 2.気体ホスフィンの短時間の紫外光照射によりジホスフィン(【P_2】【H_4】)が得られることをin situの実験により明らかにし、光化学反応機構を推定した。また初めて純粋なジホスフィンのIRスペクトルを測定した。ジホスフィンの生成率は照射時間の増大とともに減少する。この原因として生成したジホスフィンの紫外光による再分解、照射セル窓への固体生成物の付着による照射光量の減少などが考えられた。この光化学反応は微量のアセチレン,エチレン,アンモニアでは阻害されないことが明らかになった。 3.気体ジホスフィンは紫外光照射によりホスフィンおよび有色固体リン化合物を生成した。低温(78K)における固体ジホスフィンの紫外光照射により固体生成物を得た。可視吸収スペクトルはこの化合物が赤味をおびていることを示唆した。現在、拡散反射スペクトルにより色彩を調べ、木星の大赤斑などにおける赤色の原因となり得るか検討している。 4.気体ホスフィンの長時間の紫外光照射により黄色あるいはオレンジ色の固体リン化合物が得られた。この固体の生成は微量のアセチレン,エチレンでは阻害されないが、過剰のアセチレンでは阻害され、黄白色の固体を生成する。この固体はリンおよび炭素を含んだ高分子化合物であることが質量分析スペクトルより明らかになった。ホスフィンとアンモニアの混合ガスも紫外光照射によりオレンジ色の固体化合物を生成した。 5.気体シアン化水素は短時間の紫外光照射によりシアン(【C_2】【N_2】)および水素を生成した。
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