研究課題/領域番号 |
61540449
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機・錯塩・放射化学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
奥田 勉 広島大, 理学部, 助教授 (20033847)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1986年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 核四極共鳴 / 相転移 / 分子運動 / 水素結合 / 3中心4電子結合 |
研究概要 |
1.パルスNQR測定を容易にするためにデジタルストレージスコープとパソコンを購入した。NQR信号の平均加算やその後のデータ解析のプログラムを作成し性能を試験した結果、良好に作動することがわかった。ただし、ストレージスコープの転送速度が遅いために、読み出しワード数や積算回数が多いと測定に時間がかかり過ぎるので、今後この点は改良する必要がある。 2.新しい試料としてDBrやDClにより重水素化した〔【C_5】【H_5】ND〕Sb【Br_4】や〔【C_5】【H_5】ND〕【SbCl_4】を合成し、それらのNQR共鳴周波数の温度変化やスピン一格子緩和時間を測定した。これらの結果を重水素化していない試料と比較すると、以下の点が明らかとなった。 (1)重水素化した試料とそうでない試料の共鳴周波数の違いは小さい。 (2)臭化物における高温安定型から低温安定型,塩化物の高温安定型から準安定型への転移温度は、重水素化物の方がわずかに(約3K)低くなっている。これは重水素化物の水素結合の方がわずかに弱いためと考えられる。 (3)広幅´HNMRの二次モーメントの温度変化の結果を考慮すると、臭化物と塩化物における相転移はピリジニウムイオンの再配向運動が誘因となっていると考えられる。 (4)塩化物における【^(35)Cl】スピン-格子緩和時間の極小はピリジニウムイオンの再配向による"Modulation Mechanism"のためと考えられる。 (5)NQR共鳴周波数の温度変化の異常な挙動はピリジニウムイオンの違動だけでなく、X-Sb-X結合の3中心4電子結合にも原因があると思われる。 3.今後、【〔n-C_3H_7NH_3〕_2】【SbBr_5】や【〔(C_2H_5)_2NH_2〕_3】【SbBr_6】の試料についても同様な実験を行ない、NQR共鳴周波数の異常の原因がカチオンの運動やX-Sb-X結合の3中心4電子結合によるものかどうかを確認する必要がある。
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