研究課題/領域番号 |
61540455
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
無機・錯塩・放射化学
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
野宮 健司 成蹊大, 工学部, 助手 (80119354)
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研究分担者 |
三輪 誠 成蹊大学, 工学部, 教授 (60054243)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1986年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | ヘテロポリ酸 / イソポリ酸 / 電子吸収スペクトル / 電荷移動遷移 / デカタングステート / フォトクロミズム / 光酸化触媒性 / 酸化還元サイクル |
研究概要 |
交付申請書の実施計画に従って研究を行ない、成果を4つの論文として発表した。1.MoやWの酸素酸八面体単位が頂点や綾を共有して縮合した種々の構造のヘテロポリ酸やイソポリ酸を合成し、元素分析やIRスペクトルなどで同定した。アセトニトリル中で測定した紫外部領域の電子吸収スペクトルをそれらの構造に基づいて考察した。紫外吸収スペクトルはポリアニオン中の架橋酸素又は末端酸素からMoやWへの電荷移動遷移に基づくものであるが、吸収帯の数,吸収位置及び強度はポリアニオン構造によって複雑に変化する。しかし共通に含まれる縮合フラグメントによって、すべてのポリアニオンを2つのグループに分類することができ、そのフラグメント内の電荷移動遷移とフラグメント間の電荷移動遷移によって第一及び第二最低エネルギー電荷移動吸収帯を合理的に説明できることがわかった。2.種々のポリアニオンの中で特に【〔W_10O_32〕^(4-)】イソポリアニオンは第二アルコールなどの有機基貭存在下で、紫外部電荷移動光励起によって顕著なフォトクロミズムを示し、酸素によって速やかに再酸化されるので好気的条件下で有効な光酸化触媒になることを見い出した。再酸化剤としての酸素は水になる。イソプロピルアルコールからアセトンへの【〔W_10O_32〕^(4-)】による光酸化触媒能は同条件下のKeggin型【〔PW_12O_40〕^(3-)】の約35倍であった。これはポリアニオンの酸化還元サイクルの速度と生成還元種が大きく異なるためである。【〔W_10O_32〕^(4-)】の酸化還元サイクルは酸化型と二電子還元型の間で行なわれるが、相手カチオンの種類によってサイクル速度が大きく変化するのでイオン対の形で光励起を受けていると考えた。基貭をシクロヘキサノール,乳酸エチルやアセトインなどに変えて有機基貭に対する光酸化活性を比較した。ジアセチルのような水酸基を全く含まない基貭の場合、第二アルコール類の光酸化とは全く異なる機構で反応が進行する。そこでは基貭-触媒錯体が光励起される。
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