研究概要 |
1.ヒゴシャクヤクNR-培養細胞系S82から赤色色素を生産する細胞系S82Rを分離した. この色素のTLCによる分離・同定の結果, peonin.前駆体chrysantheminじあろうと推察された. 2.蘇苔類9種1亜種でカルスを誘導し, それぞれから懸濁培養細胞を確立した. このうちの7系統で薬剤耐性について調べ, 格系統間で種々の薬剤に対する耐性度に差のあることがわかった. この性質と分化能の差を利用して, プロトプラストの細胞融合による体細胞雑種の選抜に成功した. 3.ヒゴシャクヤクS82Rと野性株Kp20との細胞融合において, 赤色色素産生性とNR-の性質を利用した雑種細胞選抜の方法を見いだし, 両者の雑種細胞と思われるものの細胞分裂を観察した. 4.蘇苔類の植物や培養細胞のスーパーオキシドテイスターゼ(SOD)について電機泳動的に調べた結果, SODバンドパターンは種によって安定しており, 体細胞雑種の遺伝的分析に有効であることがわかった. 5.ゼニゴケ培養細胞A18系の細胞壁中にペルオキシダーゼの局在を観察した. 細胞壁標品による観察の結果, ぺルオキシダーゼは細胞壁に結合した状態で生存し, 過酸化水素の発生がフェノール類によって促進されることから, 高等植物細胞壁の木化と同様な反応に関与していること, およびこの酵素がプロトプラスト再生の高率化に役立っことであろうことが示唆された.
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