研究概要 |
オオカナダモ(Egeria densa)は水底温度が15°C以上で, 発根したシュートは伸長成長を開始した. 植物体の現存量は8月に最大値をとり, さらに12-1月に増大する2山型を示した. これは植物が夏型と冬型をもつことによる. 植物成長と水温との関係をしらべた結果, 21°Cで最大成長率をとった. 光合成と呼吸速度の測定に, 新しく小型酸素電極の利用を開発した. 夏型植物の純光合成速度の最適温度は〓植物にみられるように35°Cと高いものであった. 光合成-温度曲線曲線はそれぞれの時期の水温に適応したものであることが明らかにされた. オオカナダモは短かいシュートの冬型植物で越冬する. このとき葉と茎には大量の貯蔵デンプンがそれぞれの乾重の25%および23%しめていた. この大量物質の蓄積が冬の植物の越冬をささえ, しかも生活型が類似したクロモなどの在来植物に先行して成長を開始し, ただちに自分の空間を占有し, 新しい生活他に定着できる鍵をつくったと考察した. 南米原産の帰化水生植物のオオフサモ(Myriophyllum aquaticum)はオオカナダモと同様に, 日本では栄養増殖によって各地でふえている. 茎頂部の4-40cmは抽水して気中葉をつける. この直立茎は気温が11°Cをこえる4月から約14°Cにさがる11月まで1日あたり平均1cmの伸長成長を続け, その下部はつぎつぎに水面下に平伏して横走茎をつくる. C/F比は約20とたかい値をとった. 非同化器官とみなされる横走茎の貯蔵物質はかつて直立茎であったときに合成され, 直立茎の剰余生産は直立茎の再生産と横走茎の貯蔵物質にあてられることがわかった. そして横走茎の密度が高く, 越冬することが翌年の群落維持に大きな役わりをはたしている. マコモやガマなどの抽水植物, ミゾソバやセリなどの両性植物との相互関係は重要な研究課題であろう.
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