研究概要 |
滞留時間及び栄養塩濃度を制御できる屋外実験池を用い, 栄養塩負荷量と植物プランクトン現存量との関係, 栄養塩の挙動に対する動物プランクトンの役割等に関し実験を行い解析した. 藻類量は冬期に実験を開始した場合を除き, 開始1〜2週間後に最高値に達し, その後動物プランクトンの摂食の影響を受けて大きく変動した. 冬期に実験を開始した場合には動物プランクトンの増殖は4月中旬まで観測されず, 藻類量は1月から4月にかけて連続的に増加した. リンの見かけの沈降速度Vpは動物プランクトンの増殖していない場合には, 実験池の水量負荷(滞留時間)にほぼ関係なく17.9〜21.2my^<-1>の間にあり, 平均値は19.3my^<-1>であった. リンの蓄積率Rpは動物プランクトンが増殖していない場合には, 水量負荷qsに依存しており, 以下のような関係式が得られた. Rp=19.3/(19.3+qs). またこのような条件下では実験池内の全リン濃度Pjは流入全リン負荷濃度Piと水量負荷qsとで決められていることがわかった. 動物プランクトンが増殖していない2月から4月にかけて, 流入全リン負荷濃度と池内クロロフィルの濃度の間には明確が関係賀認められなかったが, 懸濁態窒素濃度との間には直線的な関係が得られた. またこの関係は月により異っていた. この期間, Chl/pp比は連続的に上昇し, 1.1〜3.9を変化した. 動物プランクトンの摂食により植物プランクトン現存量は急激に変化したが, 植物プランクトンの減少に見合う無機態栄養塩の回帰はみられず, 特にリンに関しては溶存態での回帰はごくわずかであることがわかった. 一方, 窒素に関しては大部分が溶存有機態で回帰しているものと推測された. 動物プランクトンの存在により, リンの見かけの沈降速度Vpは高い値を示し, 種組成の違いによって, 19.1〜104.3my^<-1>の間を変動した.
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