研究概要 |
チラコイド膜に結合するフェレドキシンーNADP還元酵素(FNR)にはコネクテインを介して緩く結合するFNRと, コネクテインを介さず強く結合するFNRが存在することが明らかになった. 緩く結合するFNRは低塩濃度条件下で, 60分間の抽出で, コネクテインと共に容易に遊離する. このようにしてFNRを除去したチラコイド膜へは, コネクテインの介在の有無にかかわらず. FNRは再結合できるが, コネクテインを介して結合した場合にのみ, 効率のよいNADP光還元を行う. コネクテインを介するFNRの結合様式は, まず, コネクテインが2分子の低分子量型FNR(FNR-S)を結合して高分子量型FNR(FNR-L)を作ってから, このFNR-Lがチラコイド膜の土台蛋白質に結合するものと考えられる. FNR除去チラコイド膜にFNR-Lを再結合させることによって, チラコイド膜のNADP光還元活性を完全に回復させることができた. チラコイド膜にコネクテインを介して緩く結合するFNRの結合場所はチラコイド膜表面と考えられるのに対して, コネクテインを介さず強く結合するFNRの結合場所はチラコイド膜内部であるこが予測される. FNRの結合に, 何故, このような2つの結合様式があるのかを究明するためには, 光科学系IからNADPへ至る電子伝達系の詳細を研究することが急務となった. そこで, 高いNADP光還元活性を持つ光科学系I粒子の精製を試みこれに成功した. この成功はFNRとチラコイド膜との結合について, 今後に残された問題を, さらに進んで探究することを可能とした.
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