研究概要 |
位相差像とノマルスキー微分干渉像を使い, かねて異なる手法による再研究の必要のあったトウダイグサ科植物の球皮の発生様式の研究を行い, さらにこれらの観察法の有用性をニレ科・エノキ科の花粉細胞数の観察・若い胚球の形態の観察を通じて明らかにした. 1.三属四種(トウダイグサ, コニシキソウ, エノキグサ, コミカンソウ)に基づいた研究の結果, トウダイグサ科の内球皮は従来報告されていたSubdermal origin(Bore Bouman.1974:Bore Kapil.1976)ではなく, 他の被子植物と同様dermal originであることが明らかにされた. ノマルスキー微分干渉像は球皮組織の細胞群の由来の跡を明確に示し, この種の組織発生の研究には最善の観察法であると思われる. この結果により, トウダイグサ科と他の類縁植物との間に, 球皮き発生様式についてのギャップはなくなり, この科が被子植物き中で付けられ異質な群ではないことが明らかになった. 2.ニレ科・エノキ科(合わせて15(-18)属)の花粉細胞数の研究が初めて広汎になされた. きの結果, 2細胞性花粉がエノキ科のムクノキ, Chaetacme aristata,ニレ科のHocoptelea intogritocia, ハリゲヤキに, 2-3細胞性が, ニレ科のPlanera aquaticaとケヤキに, 3細胞性がUlmae dividianaに観察された. この結果, 3細胞性花粉は一般に被子植物の進化した群に限られていることから, 2から3細胞性花粉への進化がニレ科の限られた属でのみ起こっていることが明らかにされた. 3.ムクノキを使ったembryolagyの研究の結果, とくにノマルスキー微分干渉像は, 二球皮性であることや, Craseinucellrteであること, など実に明確に示し. この観察法の有効性の大きなことが確かめられた.
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