研究概要 |
不完全菌酵母Candida albicansと分裂酵母Schizosaccharomyces pombeの細胞周期における細胞骨格の動態, ならびに, 酵母saccharomycesの核分裂について, 細胞生物学的研究をおこなった. (I)Candida albicansの細胞成長における細胞骨格の動態. C.albicansの酵母形増殖と菌糸形成において微小管とアクチンの動態について, それぞれ抗イースト微小管抗体の間接蛍光抗体法, およびローダミン・フアロイジン染色を用いて蛍光顕微鏡による観察を行った. アクチンは, 細胞周期を通じて細胞全体に分布するが, 特に出芽と隔壁形成の部位に顕著であった. 中間期細胞では, 細胞質微小管が数本, 辺縁部に見出されたが, 紡錘体微小管の発達と共に減少した. 更に, 飢餓条件に曝した細胞では, アクチン顆粒の凝集がおこり, その変化は可逆的であった. (II)分裂酵母S.pomleeの細胞周期における細胞オルガネラの動態. 急速凍結置換法, 連続切片の三次元再構成の方法によって, 対数期細胞の超微形態変化を電顕観察により追跡した. 小胞とフイラゾーは, 細胞の成長域, すなわち細胞壁合成部位に見出され, これはローダミンフアロイジン染色の領域に一致した. また, 隔壁形成の開始よりかなり以前に, 隔壁予定部位に小胞の集積が観察された. 小胞産生に関与するディクチオゾームは, 細胞周期を通じて大きな変動を示さず, ほヾ一様に一定の位置を占めていた. (III)酵母の核分裂. パン酵母Saccharomyces cerevisiaeの核分裂について, 凍結置換法により電顕観察を行った. この方法により, 染色体微小管の存在すること, そして, 分裂中後期, 核が球形から楕円体に伸長するとき, 紡錘体微小管の伸長が先行し, 円弧状, ないしS字型の紡錘体が形成されることが確認された.
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