研究課題/領域番号 |
61540539
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
動物形態・分類学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
馬渡 駿介 北海道大学, 理学部, 助教授 (50096913)
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研究期間 (年度) |
1986
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研究課題ステータス |
完了 (1986年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1986年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 系統分類 / コケムシ類 / コブケムシ類 / 初虫 / 初期発生形質 / 系列変化 |
研究概要 |
道内の木古内町、厚岸および網走においてコブコケムシ類を採集し、それらの成熟群体から放出された幼生の付着後変態を観察し、その結果を以上のとおり系統分類学的に考察した。 まず、三室性初虫をもつPseudocelleprina friplexの初期発生過程を観察したところ、幼生付着後極めて早い時期に三つの室を仕切る隔壁が形成され、しかもそれらはすみやかに石灰化することが判明した。ところがその後の発達は三室で非同期的におこり、両側に位置する個虫は例外なく中央の個虫より完成が遅れる。すなわち、中央個虫が解手を出して摂食をはじめてからしばらく後に両側個虫が自活をはじめるのである。この観察結果は、両側個虫が、中央個虫の第一次出芽世代の個虫としての形質を保持していると解釈することができ、したがって両側個虫は第一次出芽世代個虫から進化した可能性を如実に示している。 一方、Celleorina属7種の初虫形態のデータをつき合わせたところ、初虫から出芽された最初の二個虫の大きさをメルクマールにして、C.costazi→C.porosissima→C.sp.1→C.nordenskjordi→C.rodertsoniae→C.sp.2→C.sp.3の系列変化が見られた。さらに、初虫の口縁棘の数の減少、同棘の融合度、そして口縁鳥頭体の完成度という三つの形質においても同様の系列変化が見られた。以上のことから、コブコケムシ7種における第一次出芽世代個虫の大型化という進化系列が明らかとなり、その延長線上にP.triplexの三室性初虫が位置するとの筆者の考えが裏づけられた。 今後は、今までに得られた発生形質に加えて、初期郡体形成過程における形質を分折・抽出し、コブコケムシ類の系統分類を完成させたい。
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