研究概要 |
両生類のプロラクチン放出ホルモンおよび甲状腺刺激ホルモン(TSH)放出ホルモンの正体をつきとめるための研究が行われた. 1)視床下部(ウシガエル由来)の酸抽出物を各種クロマトグラフィーにより分離し, プロラクチン放出活性のある物質の所在をしらべたところ, 最も活性のある画分はPyro-Ghc-His-Pro-NH_2(TRH)を含む画分であること, 2)この画分をTRHに対する抗体とインキュベートすると活性が大幅に低下すること, 3)TRHを静脈投与したり, 下垂体を試験管内でインキュベートするとプロラクチンの放出が顕著に高まること, 4)ウシガエルの正中隆起部にTRH終末が多量に存在すること, などからウシガエルの主たるプロラクチン放出因子はTRHである可能性が強いことが判明した. 一方, TSH放出ホルモンに関しては, TSHの純化, 抗体作製, イムノアッセイの確立からスタートした. これらはTSHの放出をモニターするのに不可欠であるからである. 両生類のTSHのイムノアッセイが可能であることを確認した後, まず手始めに哺乳類のTSH放出ホルモンである前出のTRHをin vitroおよびin vivoで作用させたところTRHには両生類の下垂体からTSHを放出させる能力がないことがわかった. 今後研究を継続して視床下部からTSH放出因子を見出すことが当面の課題となる.
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