研究概要 |
本研究を通して, 西南日本の白亜系の事変について, 下記の3点の事柄を提唱したきた. (1)西南日本の秩父帯の黒瀬川構造帯を中心におこった前〜中期白亜紀の左横ずれ運動について. この事柄は, 黒瀬川構造帯よりも北側に分布する白亜系との岩相フォーナの違いを, 西南日本全域の白亜系の再調査試料にもとづく結論である. (2)前期白亜紀から始新世におよぶ期間に, アジア大陸の東端に発達した巨大なデルタ堆積物が, 寸断され, 再配列したのが, 本部白亜系の主体であるという事について この事柄は, 秩父帯北帯の白亜系には沿岸岩礁性の岩担・フォーナであるのに対し, 黒瀬川構造帯以南の白亜系は, 暖海のデルタ状堆積相がフォーナを示し, さらに両者の上・下位の岩相・フォーナの再調査をもとに得た結論である. (3)始新世以後におこった中央構造線の反時計廻りのスラスト運動について. この事柄は, 八代山地の先外和泉層群が, 秩父帯北帯にスラストアップしている事実と, 先外和泉層群が, 中九州白亜系の下位にあたる白亜系であり, さらに中九州白亜系の堆積盆の移動とそれに斜交する始新世堆積物の存在や, 先外和泉層群と南海層群(黒瀬川構造帯以南)との類似性から結論したものである.
|