研究概要 |
1.水酸基をもつ珪酸塩鉱物の結晶構造解析(パンペリ石, ヴェスブ石) 三波川産Al-パ ンペリ石は, 2種の8面体イオン席があり, 1種はAl席, 他は2, 3価陽イオンが入り, その電荷はH電子で加減される. Si_2O_6(OH)単位があり, 水酸基が直接珪素原子と結合し, この結晶構造の特徴をなす. Mn, Fe系は単結晶が得られなかった. 中竜鉱山産ベスブ石の解析の結果, 2種のOH基を見出し, bond-ralence計算でも確認した. また高スピンFe^2の酸素5配位をみつけ, 陽イオンの配位数を原子間距離の関係からも矛盾なく, このFe^25配位は, 世界初の報告であろう. 更に, ベスブ石の化学式を提案した. 2.珪素に直接結合する水酸基をもつ鉱物は, 上記パンペリ石以外にも, 数例報告がある. 酸素-珪素-酸素の角度と, 酸素-珪素の原子間距離の関係において, パンペリ石では, OH基を含んでも特別の異常は認められなかった. Mn, Fe系のパンペリ石の単結晶解析ができれば, 比較することで興味深いが, 今回結果がだせなかった. 今後, 単結晶発見の努力を続ける. 3.テーマと直接間接的に関連した成果. 3(1).リンケイ石中温型の構造解析の結果, 各原子は平均位置近傍の数ケ所の位置に無秩序分布し非調和振動項を含めた一般化した構造因子の表式で表現できる. またAg_3AsSe_3の銀原子の熱振動も, 非調和熱振動で表現できる. 3(2).結晶の格子エネルギー(金沢医大,松井正典と共同研究)計算として, MgSiO_3の高圧型についてWMIN法で求め, 弾性定数, 圧縮律を求めた. 3(3).結晶起動(Non_-characteristic orbits)ドイツのWondratschekと共同で, 平面群の特別な結晶起動(固有対象が生成対象群より上昇するもの)を導いた. また, 平面の特別な結晶起動型30種の相互関係を明らかにした.
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