研究概要 |
九州大学医学部保管の土井ケ浜弥生時代人頭骨(男性94例;女性59例)の形態小変異23項目の出現頻度を調査した。この出現頻度に基づいて、スミス法により次の8集団との平均距離(MMD)を算出した。東日本縄文時代人(JO),北海道アイヌ(AI),現代日本人(JA),蒙古人(MO),アラスカエスキモー(AE),カナダエスキモー(CE),アリュート(AL),オンタリオイロコワ(OI)。MMDによると土井ケ浜弥生人(YA)は現代日本人に最も近く、蒙古人がこれに次いでいる。MMDのマトリックスを基にクラスター分析と主座標分析を行った結果を図1と図2に示した。これによると、土井ケ浜弥生人は現代日本人,蒙古人とクラスターを作り、縄文・アイヌのクラスターとは明らかに異なる。 この結果から判断する限り、『現代日本人の成立にはいわゆる土井ケ浜型の弥生人が深くかかわっており、弥生時代以降に大陸から渡来した人々の遺伝的影響が大いに関与している』ことが推察される。
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