研究概要 |
1)ラプラス変換とグリーン関数を用いて導いた半無限多層構造における熱拡散方程式の線形解を基にして, 多層構造材料の光学定数, 熱伝導率や拡散係数の温度依存性を考慮に入れた数値計算アルゴリズムを確立した. 2)固液間相転移に伴う潜熱の授受を非線形熱解析の数値計算アルゴリズムに取り入れるために, 潜熱の吸収割合を表わす有効温度という尺度を取り入れた. 有効温度が1412゜Cまでは, 通常の温度と等しく, 1412゜C〜2857゜Cの時は部分的溶融状態を示し, 2857゜C以上の時は, 完全に溶融するとした. 3)Si/SiO_2/Si構造で実際にレーザ結晶化を行い, 再結晶化幅を測定した結果と2)で示した数値計算結果と比較することによって, 数値計算アルゴリズムの正当性を確認するとともに, 実効的に溶融する有効温度2100゜Cになることを示した. この有効温度が固液界面形状を決める温度であり実際の温度は1412゜Cで潜熱を丁度半分吸収した状態に相当する. 4)顕微赤外カメラを用いて固液間相転移時の熱輻射像を測定し, 固液間の熱輻射率の相違から, 核結晶の発生や固液界面の動きを可視化し, VTRに記録した. 5)ディジタル画像入出力装置を製作し, VTRに記録した熱輻射像を画像処理することによって, 固液間相転移時には固相と液相が混在し, その混在領域の固相部分を核として結晶化することを明らかにした. 6)固液混在状態は, 照射するレーザビームとの強度分布すなわちそれによって創り出される温度分布によって強く影響されることを明らかにした. しかし, 固液混在状態を支配する物理的機構は複雑で, さらなる研究が必要である.
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