研究概要 |
従来の機械加工法にない新しいタイプの微細穴あけ加工技術の開発を主目的として, 粘塑性圧媒加工法(VMプロセス)を考案した. 初年度では主として, 極薄金属箔に単一の微細穴加工を実施することを試み, 次年度ではより具体的な問題として, 電子部品用材料に多数の微細穴を同時加工する問題を取扱った. この結果, 以下の知見および成果を得た. 1.単一微細穴加工の検討(昭和61年度) (1)慣用のせん断加工の限界を超える小径(50μm)の丸穴や狭い幅(50μm)のスリットを炭素綱箔やニッケル箔に加工することに成功した. (2)穴の形成機構を明らかにした. (3)加工穴の精度に対する影響因子を解明した. (4)穴あけに要する圧力の力学的解析を行ない, その見積り方法を提示した. 以上の成果をまとめて, 日本機械学会論文集およびJSME International Journalにおいて公表した. 2.多数微細穴同時加工の検討(昭和62年度) (1)ダイス製作用に二次元精密ドリリングマシンを製作した. (2)VMプロセスにより, 電子部品用銅箔(硬質材)に穴径50μm, ピッチ75μm(さん幅25μm)という, 憤用のプレス加工で不可能な小ピッチの微細穴加工を達成できた. (3)軟質銅箔を用いて, 加工圧力, 加工穴性状, 穴の形成機構などにおける寸法効果を解明した. (4)新しい試みとして, 高圧砥粒流動加工(AFM法)を提案し, その有効性を立証した. 以上のようにして, 高精度微細穴加工を達成できる見通しを得た. その成果は日本塑性加工学会にて発表の予定.
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