研究概要 |
本研究の目的はセラミック粉末の成形における圧縮特性を把握するため粉末の三次元圧縮成形試験を行うことによって一般的な応力状態に対する成形条件, および応力-ひずみ関係式を構築することである. このような関係式が確立できると成形, 焼結後の性質と成形特性とを関連づけて調べることにが可能となると考えられる. このため三次元圧縮試験の結果を通して, 焼結助剤を添加したセラミック(Si_3N_4)粉末の圧縮成形における力学的特性について考察した. 成形過程の中でも, 二次粒子の充填, 破壊, 再配列などの特徴ある挙動を示すと言われている低い応力レベル(10〜100MRa)において成形特性を検討した. その結果以下のようなことが明らかとなった. (1)焼結助剤が配合された粉末を圧縮成形する場合, 助剤が含まれていない粉末を成形するのに比べて同じ相対密度の圧粉体を得るために必要な応力は低くて済む. (2)三次元圧縮試験の結果より成形条件を決定した. その結果成形曲面は主応力空間で回転楕円体の一部で表されることが明らかとなった. (3)成形条件式におけるパラメータの値は, 焼結助剤を含まない結果と比較して著しく異なる値となった. 粉末の特性とこれらパラメータの値との関連については今後の重要な研究課題である. 上のようにして得られた力学的特性 構成式を用いて静水圧成形(CIP)の剛塑性有限要素法による解析を行ったところ, 粉末の特性によって, またカプセルの材料との組合わせによって,成形体の形状, 密度の分布に相違が現れることが明らかとなった. このことからこの後の焼結によって得られる成形体の特性には相違が出てくるものと思われる. この点についてはセラミック粉末成形における今後の重要な研究課題である.
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