研究概要 |
高温クリープ域における長時間保持を伴う低サイクル疲労寿命推定法確立のため, オーステナイト系SUS304ステンレス鋼の873Kにおける引張・圧縮の高温クリープ疲労試験を実施し, 以下のことが明らかにされた. (1)まず, 第1年度においては平滑材の長時間保持を伴う高温低サイクル疲労寿命を静クリープ破談データおよび保持を伴わない高温低サイクル疲労データから推定可能かどうかについて検討した. すなわち, ひずみ制御のクリープ疲労試験を保持時間が5分〜24時間の波形について実施し, 短時間から長時間保持にわたるデータを採取した. 上述した2つの基礎データを基にして, 5分〜24時間保持を伴う疲労寿命を線形損傷和則に基づいて予測したところ, 線形損傷和則にASME風の限界損傷量を用いることにより, 5分保持から24時間保持を伴う高温低サイクル疲労寿命を精度良く推定することができた. (2)第2年度においては, 切欠き材の長時間保持を伴う高温低サイクル疲労寿命を有限要素法解析を用いて推定した場合の推定精度について検討した. すなわち, 3種類の環状切欠き材(弾性応力集中係数Kt=2.6, 4.2および6.0)が, 0.1Hzの三角波, 引張保持時間166分の台形波および繰返し速度10^<-4>Hzのslow-slow波の低サイクル負荷を受けた場合の切欠き底の局所応力/同ひずみを1(1/4)サイクルまで有限要素法解析した. 得られた局所ひずみ/同応力と線形損傷和則およびひずみ範囲分割法とを用いて切欠き材のクリープ疲労寿命を推定し, 実験結果と比較した. 有限要素法により推定された予測寿命は実験結果と係数2の範囲で一致しており, 有限要素法による繰返し弾塑性クリープ解析を用いた寿命推定法は, 切欠き材の長時間保持疲労にも有効であることが明らかとなった.
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