光弾性実験応力解析では、一般に、試料全域の主応力差の分布を表わす等色線縞写真と、主応力の方向を表わす等傾線を測定し、これらから試料内の応力分布を求める。ところが、後者の等傾線は不鮮明で、かつ、光学軸を回転させながら繰返し測定しなければならず、この実験法の最大の欠点になっていた。最近、著者は等色線(一枚の写真のみ)のみを用いて静的な応力分布を求める方法を開発した。本研究はこの方法を衝撃応力に関する実験応力解析へ拡張するために行ったものである。本年度に実施した研究内容は以下のとおりである。 (1)衝撃は高速現象であるために、試料を衝撃したときに伝ぱする等色線縞模様を高速でキャッチする必要がある。そのために、観測位置にテレビカメラをおき、イメージ・ボードを介して瞬間的な映像をマイコンのメモリに読み込むシステムを開発した。このシステム開発にあたっては、得られた映像が衝撃後、何msecのときのものであるかを明確にできること、および、任意にその時刻を設定できるかどうかが重要なポイントになる。 (2)(1)で得られた映像から、各時刻における等色線縞次数の分布をマイコン内で求めるシステムを開発した。 (3)衝撃弾性理論にもとづいて、(2)で得られた縞次数分布(主応力差の分布)の時間的変化を用いて、各時刻における衝撃応力分布を求める計算プログラムを開発中であり、ほぼ完成しつつある。このプログラムを用いて、ひずみゲージなどによる測定値と比較検討を行って、その妥当性を検討している状態である。
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