研究概要 |
殻体と剛体, もしくは殻体と殻体が接触し合い, 殻体が座屈崩壊するまで接触状態が持続されるとき, 接触部分に局所的に生じる塑性大変形がどの様に広がって行くかに関して, 球殻と円筒殻を対象として, 数値解析と実験によって検討を加え, 殻体が, 接触, 衝突する際に, どのようなダメージを受けるか予測し評価するための基礎的知見を集積した. まず, 有限な相対すべりを生じつつ接触し合って, 不安定な挙動を伴いながら大変形を生じる問題を扱うためのアルゴリズムについて検討を加え, そうしたアルゴリズムを組み込んだ, 有限変形弾塑性問題を効率よく解析する有限要素法プログラムの開発を行なった. ついで, 開発したプログラムを用いて, 数値シミュレーション的解析を行ない, 球殻, 円筒殻の塑性座屈崩壊過程を詳らかにした. それより, ・殻体同士の接触においては, 摩擦条件がきわめて重要な役割を演じること, ・摩擦力がある程度大きいと, 固着状態での変形が長く持続し, そのために両殻体がともに大きなダメージを受けること, ・摩擦力が小さいと, 比較的変形の早い段階で接触面に相対すべりを生じ, 結果, 弾性除荷を生じた側の殻体が以後剛体のごとく振舞い, 他方のみに変形が進行すること, ・こうしたことより, ダメージを予測するには, 接触点での摩擦力に抗しているせん断抵抗に対する瞬間剛性という, 居所的な構造特性の評価が必要になることなどの結論を得た. また, 部分球殻, 部分円筒殻に対する実験を実施し, 接触座屈過程を詳細に観測して, たんに, 数値解析結果の妥当性を検証するにとどまらず, 数値モデルではとらえきれない, 非軸対称変形の影響などにつき検討を加えた.
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