研究概要 |
不均質体の熱応力問題の解析法およびその応用の研究として, 次の研究題目について理論的研究を行ない論文として公表した. 1.板厚方向に温度分布と不均質性を有する平板の非定常熱応力式 2.不均質体からなる二重連結領域の非定常熱応力 3.円孔を有する不均質矩形領域の非定常熱応力 4.矩形穴を有する不均質矩形柱の非定常熱応力 5.有孔不均質板の非定常熱応力 6.不均質多重連結領域の平面熱応力問題の解析解(第1報 中空円板の非軸対称定常熱応力 7.平面不均質熱弾性論による複合構造物の非定常熱応力解析 上記1.は, 材料技術者が高温構造材料の設計に簡単に利用できるように, 不均質板の熱応力が温度関数の代入によって得られる熱応力式を提案した. また, 上記2.〜7.は, 不均質体からなる多重連結領域の熱応力問題を応力関数法で定式化し, 一般的な不均質特性を有する場合について差分法にて数値解析する方法および熱伝導率とヤング率が中空円板の半径座標についてベキ乗則で与えられる場合の解析解の導出方法について論じたものである. 上記2, 3においては, 不均質体内に生じる回転と変位の一価性を保証する新しい条件式(均質体におけるいわゆるMichellの条件式)が, 直角座標系と円筒座標系のもとで誘導されている. さらに, 7はFRMなどの複合材料が高温下にさらされたときの熱応力問題およびセラミックと金属の接合に際してのセラミックの割れの問題に応用することを念頭に, 異種材料の多層からなる複合円筒の熱応力問題を不均質単円筒として比較的簡単に解析する方法を提案したものである. 以上の全ての研究は, 傾斜機能材料を新しい宇宙往還機用材料として設計する際に使える.
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