研究概要 |
押出し, 鍛造等の圧縮塑性加工の製品形状及び材質は多様で, 特に難加工性材料の加工においては加工中の材料の温度, ひずみ速度を適当に管理することが重要である. これを型設計の段階で予測するためには計算機による数値シミュレーションが有効であるが, 現在の有限要素法には種々の難点がある. 本研究では, まずモデル実験の結果を参考にして変形領域をいくつかの"擬似2次元変形"領域に分割し, 個々の擬似2次元変形を加工エネルギ最小条件(極限定理による)を用いて解く方法を提案した. 解析の対象としては非軸対称の後方押出しのような, ひずみ分布の変化の大きい三次元変形を選定する. そしてこの例に従って解析手順を簡単に説明する. 本解析ではまず擬似2次元変形領域への分割法が問題になるが, 本研究では以下の様な二つの方法を検討した. 第1の方法では, 基本的加工条件についてプラスティシンモデルによる実験を行い, 加工後の材料横断面内のひずみ測定を行う. そしてその面内で放射状の主ひずみ線を求め, 主ひずみ線を含むいくつかの流面を分割面とする. この面においては面外のせん断ひずみが小さく, 従って隣接領域間でのせん断応力による変形の干渉が小さい. 次に各2次元領域について有限要素解析を行い, これらの結果を合成して三次元問題の近似解とする. 第2の分割法としては分割面を単純化し平面として, 実験情報を利用しないで決める方法を試みた. その結果, 正方形断面ポンチの場合のように対称面の多いものでは十分な近似解が得られることがわかった. 以上を要約すると, 対称面の多いものでは後者の簡易法がよく, 逆に非軸対称性が強く円周方向への流れが大きいものでは前者のモデル実験併用法が有効である. またそれらの中間的な問題では材料側面の周方向流れの情報だけを利用する方法が有力と思われる.
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