研究概要 |
熱間鍛造型の寿命正しく評価するための重要点の一つは, 型の熱軟化を推定できることにある. このためには型の受ける正確な熱サイクルの推定が必要である. 鍛造型の温度場を解析するためには高温素材と型の接触熱抵抗および潤滑冷却材による型表面における熱伝達率の現場情報が必要となるが殆どそれが明らかにされていない. そこで, 鍛造現場において鍛造作業条件をいろいろ変更して実鍛造温度場の計測を行うことを試みた. また, モデル鍛造試験を用い温度計測を行いつつ各種金型材の熱負荷試験を行った. これらを基に型寿命評価を支援するための5つのプログラムからなる計算機システムを作成した. 中小企業の鍛造現場で利用することを考え, プログラムは, 総てパーソナルコンピュータ(NEC-PC9801VM2+2MBRAM+数値演算プロセッサ8087)上で実行できることを前提にした. (1)鍛造中の温度の連続計測データを取り込み接触熱抵抗および冷却熱伝達率を見積もるための二種類の解析プログラム. (2)熱伝導および応力解析を行うための任意断面形状の軸対称もしくは二次元形状と任意の境界条件を処理する有限要素自動分割プログラム. (3)型の疲労寿命評価に必要となる, 鍛造型表面層に生ずる熱応力振幅を見積もるための弾塑性プログラム. (4)熱間鍛造に常用される7種の型材の焼き戻し母曲線の式表示を含む型軟化を予防評価するプログラム. (5)金型の設計を支援するため型軟化状態, 鍛造型温度場, 応力場等の計算結果の評価を容易にするための図形処理プログラム.
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