研究概要 |
ハイポイド歯車のように大量生産される歯車は短時間で加工することが要求される. 近年急速に進歩している数値制御技術やCBN研削技術を用いて, このような要求に応え得る加工法としてCBN直接創成研削法を試みた. そして, この試みを通して, この研削方法の諸問題を抽出し, その解決法を探った. この方式での研削が可能になれば, ハイポイド歯車が持つ問題点, 歯面の共役性の問題, 焼入れひずみの問題, 歯当たり変化の問題などが一挙に解決される可能性が出て来ることにもなる. 歯車の形状の理論については, まず, 与えられたかさ型の被削歯車に対して, 砥石歯車の歯すじの形や歯の傾角における要件を解明した. 被研削歯車と砥石歯車の関係は食い違い軸歯車の関係を持っていなければならないことを考慮し, かさ歯車では, 被削歯車, 砥石歯車共にその歯すじは特殊な形の場合にのみ, 直接創成方式の可能性があることを示した. また, ハイポイド歯車の歯当たりの問題, およびかさ歯車の歯すじが特殊な形に限定されるという問題を共に解決するため, 歯車軸が相対的に変位するという新しい概念を導入した. そして, これを軸変位歯車と呼び, 歯車軸の変位と歯面との関係を解明した. 歯車研削の試行については, まず, 歯車軸を変位させながら研削できる機構を持つ, 研削装置の設計と製作を行なった. 被削歯車と砥石歯車の同期をとりながらサーボモータで直接駆動するとき, 高周波領域での制御特性の悪さをどのように解決するかという問題がある. 慣性能率を大きく設計することでこの問題に対処した. また, 最初に歯車軸を変位させずに研削する段階まで試み, これに成功した.
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