研究概要 |
本研究では, スモレンスキ形の主弁に山田式の副弁を組み合わせた逆止め弁についてバネ, 流量, 実揚程, 副弁口径, 管路長さなどを変化させ, その弁の変位応答, 圧力応答等を調べると共に, 損失ヘッド及び逆流量を最小限に抑えるための条件を明らかにし, 従来の副弁付きスイング弁と性能を比較した. さらに, 弁が閉じていく際の弁の抗力係数Cdを調べ, 定常状態におけるCdと比較し, その両者の関連性, ならびに水撃に及ぼす影響についても考察した. その結果を要約すれば, (1)長管路の場合は, ポンプ電源遮断後逆流に転ずるまでの時間が長いため, 流束の減少に追従して弁が閉鎖するので弁の閉鎖遅れによる水撃は生じにくいが, 最低圧力ヘッドがより低くなり, 理想閉鎖をしたとしても大きな水撃を生ずる. 短管路では, ポンプ電源遮断後すぐに逆流するため, 弁は流速の減少に追従して閉鎖することができず, 弁の閉鎖遅れによる水撃が生ずる. したがってバネカの強い主弁を設けることが必要である. (2)バネによる閉鎖力が大きいほど水撃を低減するのに効果があるが, パネが強いと損失も大きくなるので, 適当なバネを選定せねばならない. (3)副弁口径が大きいほど十分な逆流量を逃がしてやれるので主弁閉鎖時の水撃低減に効果はあるが, 必要以上に大きな口径の副弁を用いると副弁を十分ゆるやかに閉鎖しない限り副弁閉鎖時の水撃が増す. また逆流量も増加するので, 管路長さ等の条件に合った副弁口径を選定せねばならない. (4)内径53.45mmの鋼管で配管された長管路Ld=47.0mの場合は, 副弁口径8mmの逆止め弁を用いればポンプ停止時の水撃は抑えられることがわかった. 短管路Ld=4.7mの場合は, 閉鎖力の強いN4のバネを用いれば閉鎖遅れを起こさず完全無水撃を達成できる. (5)弁が閉じていく際と定常状態における弁の抗力係数は, 弁変位が小さいところでは両者はよく一致するが, 弁変位が大きいところでは大きく違う値をとる.
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