研究概要 |
軸流送風機の低流量域特性改善と低流量域で生じる旋回失速の発生原因を調べることを目的として本研究により以下の結果を得た. 1.軸流送風機の旋回失速の発生には, 動翼圧力面側に蓄積する低エネルギー流体が深くかかわっている. この低エネルギー流体を除去することにより, 軸流送風機の低流量域特性は大幅に改善される. 2.本研究に用いたような比較的翼端すきまの大きな動翼列においては, この低エネルギー流体の蓄積はおもに翼端からの漏れうずによる. 3.失速前段階での動翼列の非定常応答測定では, 失速点近くでは送風機流量を減じても, 動翼列前後の静圧差はほとんど変化しない. 一方, 相対流速による動圧の差は, 送風機流量のわすかな減少で大幅に増大し, これが翼列損失増加の原因になっている. またスクリーンの翼列前方流速分布への影響の現われ方も送風機流量の減少とともに顕著になる. 4.3.でのデータから非定常のベルヌーイの式を用いて, 動翼列の非定常損失と相対流入角および瞬時流量との関係を得た. 5.旋回失速へ移行する過渡的な流れ場の測定から (1)旋回失速は翼ティップから始まる. (2)失速セルの旋回速度は失速の初生時から変化しない, (3)失速初生時の流れ場の変化は急激で, 翼列の半ピッチ移動する間に大きく変化する, (4)失速セルは送風機動翼の4-5回転で完全に発達する, などのことがわかった. 4.のデータは今後行なう予定の旋回失速の数値シミュレーションでのデータとして用い, その信頼性の検証が必要であると考えている. そしてこのデータを用いた数値シミュレーションにより旋回失速の発生原因を調べることができると期待している.
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