研究概要 |
はく離直前の状態にある流体, あるいははく離した流体と壁面との干渉効果を利用して, 境界層はく離を抑制する, いわゆるはく離の自己制御の可能性について調べることを目的として実験を行った. 前年度に引き続き二次元非対称ディフューザの開き壁面に生する乱流はく離を取り上げて, 壁面粗さ要素の周囲に生ずる微小なはく離うずと主流との干渉について調べた. 本年度は, 前年度に行った種々の粗さ要素のうち, 特にグルーブを選び, グルーブピッチを変化させて, その影響を調べると共に, 流れの可視化実験を行った. グルーブを特に選んだ理由は, 一定のグルーブ形状の場合に低レイノルズ数でははく離が促進され, 高レイノルズ数では逆にはく離が抑制されることが, 過去の研究において報告されていることによる. レイノルズ数を4.2×10^4に固定し, グルーブのピッチを変えてディフューザの圧力回復率, 逆流率, 流速および乱れ強さの分布を測定した. その結果, ピッチを大きくして行くにつれてはく離は促進されると同時に圧力回復率が低下し, 従来報告されている様なはく離抑制の効果はまったく認められなかった.
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