研究概要 |
本研究は, 自動車や鉄道車両などの地面境界近傍を走行する三次元鈍頭物体の空力特性を, 実験と理論解析の両面かち解明することを目的としている. 研究の過程と得られた結果を要約すると, 次の様になる. 1.ムービング・ベルト装置の試作・開発 風洞流速に追随して高速で走行するベルト装置を開発した. 測定部のベルト面寸法は440×620mm, ベルト走行速度は(5〜38)m/sであり, ベルト面の浮き上りを防止するベルト吸着装置と境界層制御装置ならびにマイクロ・コンピュータを用いた風洞流速への自動追尾装置を備えている. 2.三次元物体の空力特性の評価 最も単純な形状の三次元鈍頭物体として球および長球を, また, より実用的な物体形状としてクラークY型翼の翼厚を増して創成した低アスペクト比厚翼を用い, 種々の流速, 模型と地面境界との間隙の下で, 模型に働く流体力を測定した. そして, 臨界レイノルズ数におよぼす長球のアスペクト比の影響, 地面効果の現れ方に対する地面境界の状態の影響, 実車を模した三次元物体の寸法効果, 地面効果等を, それぞれ固定地面板法, 境界層制御付固定地面抜法などと比較して示した. 3.圧力分布および流れ文様の評価 球および長球, 実車を模した低アスペクト比厚翼の表面圧力分布を測定し, 空力特性の変化におよぼす寸法効果や地面効果の現れ方を圧力分布の面から考察した. 次に, 表面タフト法による物体まわりの流れ文様の可視化実験を行い, 三次元物体特有の縦うずの発生過程を明らかにすると共に, 圧力分布との関連について議論を加えた. 4.境界要素法によるはく離流れ場の解析 物体の非はく離域においては直接, 物体表面に, また, はく離域においては, はく離自由流線上に面に垂直な方向の極を持った二重極を連続的に分布させる事で流れ場の定式化を行い, 数値解析する手法を提起した.
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